ジャケットのインパクトが印象的なアルバム「Here Lies Love」は、元フィリピン大統領フェルディナンド・マルコスの夫人イメルダ・マルコ(ジャケットの写真の人)と、その幼少時に仕えたエストレーラ・クンパスの人生をコンセプトにしたコラボレーション・アルバム。元々David Byrne & Fatboy Slimは2つのミュージカルとして構想していたようだが、そこから発展しミュージカルをダンス・ミュージックの世界に落とし込むことによって生まれた作品とのこと。David Byrne & Fatboy Slimはこのプロジェクトに数年費やしており、収録曲数はなんと全22曲!!参加ゲストも豪華で、Cyndi Lauper、Martha Wainwright、Natalie Merchant、Tori Amos、Florence Welch (Florence + The Machine)といった、David Byrne & Fatboy Slimならではの人選がとても素晴らしい。ミュージカルをダンス・ミュージックに落とし込んだという作品だけに、全体的にゆるいダンス・ビートに、ウィットが効いた心地よい曲調になっている。CDアルバムでは2枚組通常盤のほか、アルバム収録曲から6曲のビデオを収めたDVDとプロジェクトの概要を説明した100ページの本がセットになったスペシャル・エディションがある。アルバムに付属するブックレットで、バーンは以下のように綴っていた。
「僕が興味を持ったのは、影響力のある人間を駆り立てる原動力は何なのか、彼らは何によって突き動かされるのか、どうやって自分自身を作り上げ、また作り直すのかについての物語だった。で、僕は密かに考えた。それをクラブという設定のなかで体験できたら——この作品は基本的にクラブ寄りのダンス・ミュージックだから——素晴らしいんじゃないかってね。物語や舞台演劇みたいなものをディスコに持ち込めないか? それは可能なのか? もしできたら、凄いことじゃないか!」
と、なんともスケールが大きいコメントですが、この二人なら実現してくれそうな気がします。